数理アート作品集

ロジスティック写像の不安定周期点

ロジスティック写像は xn+1=axn(1-xn) という漸化式によって表される1次元の離散力学系。この式のaをパラメータとして横軸にとり、縦軸にこの漸化式を次々と計算していったときの x の位置分布をプロットすると、下の分岐図が描かれます。

この図は、分岐図の代名詞としてよく知られている図でもあり、単純な漸化式からこのような複雑な図が生み出されることに驚きます。

しかし、上の図には描かれていないものがあります。上の図は x が引き寄せられやすい安定な点のみを描いたものですが、逆に x がそこから反発して離れていく不安定な点も存在します。上の図にはこの不安定な点が描かれていません。まるで蜘蛛の巣のように複雑な模様を生み出すロジスティック写像の挙動生成には、実は背後に存在する不安定点が重要な役割を果たしています。不安定点は、元の写像の合成写像を計算することによってその一部を求めることができます。下の図は、数値計算によって求めたロジスティック写像の不安定点。

赤い線が不安定点を表します。青い線は安定点。図左側より、パラメータaが増加するにつれて何度か青い線の枝分かれが発生し、枝分かれして2本に別れた青い線の間には赤い1本の不安定点が現れていることがわかります。この三又の分岐には熊手型分岐という面白い名前がついています。

この図を、元の分岐図に重ねたのが下の図。

赤い不安定点が複数出現することが出目となって、カオス挙動が生成されていることがわかります。しかし実はこの図は、ニュートン法を計算の初期値を何度もランダムに変えて実行し、収束した解のみをプロットするという半端な方法で描いているため、全ての不安定点が描けているわけではありません。正確にこれらの点を描くためには、下の動画中の曲線と直線の交点を全て求める必要があります。

この動画はロジスティック写像の不安定点の個数(の一部)が、パラメータaの増加によって変わっていく様子を示したもの。曲線と直線(y=x)の交点の数が、不安定点の個数となります。始めは数個だった交点の数が、パラメータの増加に伴って増えていき、すぐに数えきれなくなります。この膨大な量の交点によってカオスが発生し、上の複雑な分岐図が生み出されるわけですが、これらの点を数値計算によってすべて求めるのはコンピュータの力が足りなくて難しいでしょう。それほどカオスというのは複雑な出来事なのです。

以下、制作過程で得られた他の図

参考図書

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